「散骨の時期についてはいつがよいでしょうか?」とお問い合わせいただくことがあります。
散骨に
適した時期というのは特にありません。
先日、個人散骨をされた方は、お嬢様を昨年末に亡くされました。
お嬢様が生前、海に散骨してほしいと望まれていたとのことでお問い合わせいただきました。その方からは毎日のように質問のお電話をいただきました。
「散骨とはどういうものか?」というところからの質問だったように思います。
「散骨とはどんなことをするのか?」「他の散骨会社との違いはどこか?」「船は揺れますか?」など・・・。
何度もお話をさせていただくうちに、数ある散骨の会社の中から当社にお決めいただくことになりました。
お申込みいただきまして散骨の日程調整の話をさせていただきました。
「法事が3月10日でその後であればいつでもいい。」「ただ仏滅は嫌だ」とおっしゃっていました。その方は「いつが一番いいですか?」と私にお尋ねになりました。
その時私は「散骨はいつが良いというのはないのですよ」と答えさせていただきました。
一般的に考えれば冬は寒そうだし、夏は日差しが強い、秋は台風もくるし、春は風が強いとネガティブに考えることもできます。しかし、私が1年を通して船に乗ってみて思うことは、どの季節も素敵なのです。
冬の景色は空気がピンと張り、海はとても澄んでいます。何度も冬のブログに書かせていただきましたが、船内は暖かく、デッキにも暖房を置いています。(利用の船にもよりますが…)
夏の景色は空と海の色がとても綺麗です。散骨される方もどこかリラックスされクルーズも楽しめます。
秋の空はとても天高く透き通っています。
私たちスタッフは、毎日、天気予報の台風情報に敏感になりますがとてもよい季節です。
春はなんといっても桜と新緑が美しいです。
特に月島の乗船場にはたくさんの桜並木が川沿いにあり乗船前のお花見もできます。
話は少しそれましたが、そんな説明をさせていただきました。
そうしたところ、「娘は、桜が大好きで、花見の時にはワインをよく飲んでいたんですよ」とおっしゃったのです。
その時私は「お嬢さんを桜の時期に海に還してあげたい」と思いました。
お電話を置いてから、私はパソコンで今年の桜予想をみたり、桜情報を集めました。
そして船会社に船の空き状況を尋ねました。しかし、残念ながらその時期の土日は桜祭りが開催されるので空いていませんでした。そんな中、平日であれば何とかしましょうという返事をいただき、お客様も平日でも構わないということで4月12日(金)に決まりました。
私は、満開の桜でないにしても花が見られればいいなという思いでした。
数日後のことです、お客様から「平日だと来れない人が多くて日にちを変更したい」というご相談のお電話をいただきました。
その後、調整に調整を重ね、やっと3月24日に決まりました。
しかし、桜の開花には少し早いのではないかと。
その時、私は万が一桜が咲いていなければ献花に桜の枝をご用意しようと思っていました。
そして、散骨の週になりました。
偶然ですが、なんと!今年は開花が早くその週に桜が満開になったのです。
このことは本当に本当に嬉しかったです。
きっと故人様は本当に桜が好きだったのでしょうね。
散骨を行っていると、偶然かもしれませんが故人様の想いが伝わるような気がします。本当に心が和みます。いつも思うのですが「家族っていいな」と。
私は散骨のお手伝いをさせていただくことで、「家族」の在り方を考える時間が増えました。本当に皆様にいつも教えていただいています。ありがとうございます。
散骨にいい季節は、故人様が導いてくださるのかもしれませんね。
